ほくそんの図書室

気まぐれな小さい図書室。

『訪問看護師が見た生と死 在宅無限大』

 

61)本屋さんの書評コーナーで置かれていて、「訪問看護」に少しだけ馴染みがあって手に取った本。

 

看取りまでのケアだけでなく、重症心身障害児の訪問看護を行う人も取り上げているのが個人的にはとても良かった。

 

 

訪問看護師へのインタビューで語られた文言を哲学的に分析し、「死とは何か」「生きるとはどういうことか」について思考していた。

 

著者はまず、

 

長年にわたって人類は身近なところで死を経験し、伝承してきたはずなのだが、ここ数十年のあいだに一挙に看取りの経験知が失われてしまった。私たちの多くは、死がどのような出来事なのかを知らない。

 

と述べ、奇妙な時代になったと述べた。そして今、訪問看護がクローズアップされている理由として、政府が在宅医療を推進する施策を打ち出したことと

 

同時に私たちは、いったんは失われた自宅における看取りを、なにかよいものとして再発見、いやむしろ再発明しつつある。端的に言うと「よい」死に方を再発見しつつある。

 

と述べ、生活と死を連続させることが、現代の訪問看護の発明だと言った。

 

 

著者は訪問看護師さんのことを「変化の触媒」と述べ、病院では失われてしまう患者さんそれぞれの自己決定を、在宅であれば患者さんとその家族と訪問看護師とで実現することができると述べた。

 

死への過程を自分で決定できるのは、これからの時代の主流になるんだろうなと感じた。最後まで「自分らしく生きる」ことができる人が増えるとよいな。

 

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※ペン変えました。ロットリングティッキーグラフィック0.1