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よく調べたら、この本に出てきた俵屋宗達のことは、現実ではあまり分かっていないらしい。
天正遣欧少年使節の4人やそれに随行したロヨラ修道士、ビァリヤーノ神父は実際にローマへ行き、ローマ教皇に謁見したそう(ビァリヤーノ神父は途中ゴアに留まりロドリゲス神父が代わりに行った)。
その中に、アグスチーノ(印刷技術習得要員、日本人少年)がおり、小説内ではそれが俵屋宗達という設定で、またミラノでミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオと会うという設定であった。
しかも俵屋宗達が「(略)おれは君のことを『カラビァッジョ』と呼ぼう」と言うという設定(!?)
命名までするという
ローマ教皇に献上したものは、織田信長の命令で狩野永徳と俵屋宗達が共同して手がけた「洛中洛外図屏風」であったが、実際は何を献上したのか、分からなかった。しかし洛中洛外図を調べると、各地でさまざまな人が作っており、その中の「上杉本」が一番時代背景が似ている。「上杉本」は織田信長が上杉謙信に送った狩野永徳の作品で、景観は室町幕府の足利義輝の時代。これは小説にも出てきた。(小説では永徳ではなく、永徳の父州信が依頼され、色々あって永徳が描くという流れだが)
もっと調べたら「これは本当にあったことなのか!」「こっちは原田マハさんの創造なのか!」
となりそう。
日本美術に少し抵抗があったが、これを読んでだいぶ受け入れが良くなり、「俵屋宗達」に関する本を図書館で借りた。
琳派とかあまり知らなかったけれど、俵屋宗達や本阿弥光悦を筆頭につくられた流派だと知れた。
また読みたい。
風神雷神Jupiter,Aeolus(上)
風神雷神Jupiter,Aeolus(下)
PHP文芸文庫
装丁:重実生哉