94)本屋のポップス「グルメ×殺人」に惹かれて買った小説。
読み進めるほどにことば巧みな食事の景観に食欲の湧いた本でした。著者のグルメに対する関心が高いことが感じられた一冊でもあり、調べると製菓メーカーに勤めていた時期があるようで。
最後の参考文献で木嶋佳苗の首都圏連続不審死事件をもとに書かれた小説なのだと知りました。
体のラインが変わっただけで「自分に甘い」と言われる女性新聞記者、主人公の友達で結婚生活に悩む女性、結婚詐欺に似つかわしくない容姿をした女性…「女」であるということだけで他人から世間から縛られる女性たちの心情を読みながら、そこから自分を解放できるのは自分しかいないのだと気付かされた本でした。それに気づけるのは女性同士の友情だったりするのだろうかなんて。
フィクションとノンフィクションの間くらいの話が好きだなあ。
BUTTER
柚木麻子
カバー装画=原裕菜
新潮文庫 / 2020